2018年9月20日木曜日

メンバーズ(vol.3)

本誌掲載内容から、Who's Whoをご紹介します。今回のメンバーは12名。
それぞれ、「眠り」「ゆめ」から連想する本、映画などを挙げてもらいました。

◆石井優貴(いしいゆうき)
寝ながら諸々について考えこむ癖が抜けず不眠症なのですが、睡眠導入剤代わりに聴く音楽のうちで一番効くのがアルノルト・シェーンベルクの弦楽四重奏曲第3番です。音型を一つずつ拾っていくと曲が次第に解体されていき、思考が溶けます。

◆s.s.g.(えすえすじー)
Twitter:@ph010_
作品を書いた時の自分とは今では全くちがう気分で、日記をクローゼットにしまった女の子は、今頃何をしているだろう、もう少し彼女と交換日記を続けたいと思いながら、夏の厳しさや、アイスクリームの甘さを味わっています。
 *Deerhunter『Helicopter』
 *Air『Virgin Suicides』
 *Department of Eagles『Noam Chomsky Spring Break 2002』

◆ermhoi(えるむほい)
Twitter:@Dooonermhoi
ermhoiという名前は、3分で決めたのですが、最後の「ほい」という音が相手の緊張を緩める効果があるみたいなので気に入っています。音楽が好きです。
私は本をあまり読みませんが、夢野久作のドグラ・マグラは読めました。ああいう細密な事実と謎と伏線が広がっていくのような夢を見て、私は天才なんだって興奮して目を覚ます、そんな日が来たらいいなと思っています。

◆片貝未来央(かたがいみきお)
しばしば人は眠るために本を読みます。現実が悪夢のようになってしまっているいま、私たちは目を開けたまま夢を見るために本を読むのかも知れません。
 *ガブリエル・ガルシア=マルケス「眠れる美女の飛行」(『十二の遍歴の物語』より)

◆工藤順(くどうなお)
Web:https://junkdough.wordpress.com
眠りとは、ある種の避難所(シェルター)のようなものと考えてこの特集を始めたのですが、続々集まる原稿を見て再考を迫られました。むしろ眠りは死と分かち難いものであり、またあまりに憎いものでもあり得る……。ひとが一人に還る場所、だからこそわたしと世界との、あるいはわたしとわたしとの関係があまりに露わになるのかもしれません。
 *ゲンナージイ・アイギ「いまではいつも雪が」(『アイギ詩集』より)

◆倉畑雄太(くらはたゆうた)
‪何もしないで過ごす時間が、夢のような時間になってしまったことを悲しく思う。東京でぼーっと過ごした夏休みが終わり、切実にそう感じた。夜のぬるっとした街の光、明け方の青みがかった空、この映画で描かれるすべてが懐かしく、愛おしかった。‬
 *三宅唱(監督)『きみの鳥はうたえる』

◆Copal Ildeaux(こぱるいるどー)
Instagram:@copal.ildeaux
この夏にシベリア鉄道でロシアを縦断しました。総距離九二五八キロ、六日間の旅のお供は『罪と罰』。物語の中で、人はよく悪夢にうなされ、妄想の虜となります。この本を読んでいると、同じ車両に乗り合わせたロシア人の老若男女と仲良くなれました。
一〇歳くらいの女の子が紙面に印刷された「人間」という文字を指さし、「なにこれー、変な形!」というような反応をしました。
 *ドストエフスキー『罪と罰』

◆砂漠で生きる(さばくでいきる)
Twitter:@mstkaqrg
最近は宇宙ユーチューバーとして活動しています。宇宙ユーチューバーとは、宇宙のユーチューバーのことです。宇宙とつながっていればチャンネル登録できます。よろしくお願いします。夜空を見上げると気持ちいいよね。
 *『2001年宇宙の旅』(映画)

◆つぐみ
幼い頃にみた無数の甘い夢を糧に、今ここを過ごしているグラフィックデザイナーです。
夢から連想する本は、ヘッセの『デミアン』です。幼い頃に抱く明と暗、2つの夢。夢(青春)の世界では正義が霞みます。ゆえに、覚めた時の束の間の美しさは、いくつになっても色褪せないなあと。そんなことを考えながら懐かしい夢を今日もまた求めてしまいます。

◆nemunemuおばけ(ねむねむおばけ)
一人っ子で育ちました。恋人と話しているとき、弟がいたらこんな感じかな、と思う瞬間が度々あり、姉になりたかった自分、という思いもよらぬアイデンティティーの発見に至りました。そんな作り話です。
 *吉本ばなな『白河夜船』
 *Victor Erice『lifeline』(短編映画)

◆藤澤大智(ふじさわだいち)
良心の声にそのまま耳を傾けようとする者は、自分の身近や内面の事柄については沈黙できなければならない(アルトゥーロ・グラフ)。
 *山本直樹『ラジオの仏 山本の夢辞書1975-2004』

◆藤田瑞都(ふじたみさと)
眠りに落ちる以前の世界と目覚めて以後の世界は、地続きなのでしょうか? 私たちは、眠るたび何を忘却しているのでしょうか。眠りとめざめのあいだで、私は何者なのでしょうか。不眠は、再びめざめることへの、生への不信感から生じるのでしょうか。……
眠ることは、世界の秘密です。
 *日渡早紀『ぼくの地球を守って』:高校生六人が、眠りの中で前世を体験します。眠りという仮死状態で前世を生きる彼らの時間は、「未来へ還っていく」。それは、どういうことなのでしょうか……? 不思議な眠りの世界を冒険したい人へ。

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