vol.1でロシアの思想家フョードロフの文章を訳しながら、著作権のことについて考えていました。
本文のなかで述べたように、著作者の死後50年とか70年にわたり著作物を独占できる状態に置くことの是非についてはいったんは留保するとして、日本で出版をするからには日本の著作権制度について勉強する必要があるでしょう。
そこで、文化庁の「著作権テキスト」(平成28年度版)というものを読んでみました。
★文化庁HPよりダウンロード可↓
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html(ページ中段)
以下、私が理解した限りでのメモです。(文中【§○】は、著作権法の条項番号)
《原則》
★原則として、あらゆる著作物の利用には、著作者の許諾が必要です。・日本における「著作権」は、無方式主義をとる。=創作物が生じた時点で、届出等一切不要、無条件で権利が生じます。
・自由に利用できるのはあくまで例外。主に、以下の3つの場合に限られます↓
《著作物が自由に利用できる場合》
→以下の場合に、著作者の許諾なく著作物を利用できる。
①法律が定める保護対象でない著作物の場合:
法律の保護対象【§6】に当てはまらない著作物の場合。
②著作権の保護期間が満了している場合:
個人の著作の場合、死後50年間、著作権が存続します。著作権が切れるのは、死亡年月日+50年の翌年の1月1日。【§51】(例:1950年10月5日に死亡→2001年1月1日からパブリックドメイン)
③権利制限規定によって利用する場合:
私的利用、教育目的、図書館・美術館等での利用、福祉目的、報道目的、引用・転載の場合…など、多岐にわたり規定されています。
※その他、著作権を放棄することを明示している場合や、creative commonsによって一部(あるいは全部)の権利を放棄している場合なども考えられます。
法律の保護対象【§6】に当てはまらない著作物の場合。
②著作権の保護期間が満了している場合:
個人の著作の場合、死後50年間、著作権が存続します。著作権が切れるのは、死亡年月日+50年の翌年の1月1日。【§51】(例:1950年10月5日に死亡→2001年1月1日からパブリックドメイン)
③権利制限規定によって利用する場合:
私的利用、教育目的、図書館・美術館等での利用、福祉目的、報道目的、引用・転載の場合…など、多岐にわたり規定されています。
※その他、著作権を放棄することを明示している場合や、creative commonsによって一部(あるいは全部)の権利を放棄している場合なども考えられます。
《著作権で保護される内容》
・一般的に「著作権」といわれる権利の内実は、まず
①「著作者の権利(著作権)」と「実演家等の権利」の二つ
に分かれており、そのうち「著作者の権利(著作権)」は、
②「著作者人格権」と「著作権(財産権)」
に分かれます。それぞれさまざまな権利を含んでいる。
・例えば翻訳に関わるものとしては、「著作権」>「著作者の権利(著作権)」>「著作権(財産権)」>「二次的著作物の創作権」(翻訳者は、翻訳する際には原著者に許可をとりなさい)【§27】や「二次的著作物の利用権」(読者は、翻訳物をコピーする際には(翻訳者のみならず)原著者にも許可をとりなさい)【§28】など。
以上が、「著作権」の概要です。
ところが、どうやら翻訳の場合には、さらに例外的な取り扱いがあるらしいのです。テキストは、25~26頁および42~48頁。
・外国の著作物であっても、国際条約(ベルヌ条約、万国著作権条約等)によって著作権は保護されることとされています。【§6.3】
・外国の著作物は、日本においては日本の法律に則って、逆に日本の著作物は、A国においてはA国の法律に則って、保護されます。(なので、ロシア人の書いた文章を日本語に翻訳する時は、日本の法律に則って保護される。保護期間については、短い方に合わせて良いので【§58】、50年経っていれば自由に翻訳できる)
以下、特例です。
★特例
・翻訳権の7年強制許諾:
テキストを参照してください(26頁)。翻訳権者から許諾が得られない場合に、文化庁から許可を得て、補償金を支払えば翻訳ができる制度。
・翻訳権の10年留保:
これは、もともと旧著作権法(1899~1970)で規定されていた制度が、現著作権法(1971.1.1施行)に経過措置として残されているものです。
「テキスト」から“引用”すると、「著作物が最初に発行された年から10年以内に翻訳物が発行されなかった場合翻訳権が消滅し、自由に翻訳することができる制度」(25頁)です。
旧著作権法にはこうあります。
で、それを承けた現著作権法はこうです。
・例えば翻訳に関わるものとしては、「著作権」>「著作者の権利(著作権)」>「著作権(財産権)」>「二次的著作物の創作権」(翻訳者は、翻訳する際には原著者に許可をとりなさい)【§27】や「二次的著作物の利用権」(読者は、翻訳物をコピーする際には(翻訳者のみならず)原著者にも許可をとりなさい)【§28】など。
以上が、「著作権」の概要です。
ところが、どうやら翻訳の場合には、さらに例外的な取り扱いがあるらしいのです。テキストは、25~26頁および42~48頁。
《翻訳について、エトセトラ》
○原則・外国の著作物であっても、国際条約(ベルヌ条約、万国著作権条約等)によって著作権は保護されることとされています。【§6.3】
・外国の著作物は、日本においては日本の法律に則って、逆に日本の著作物は、A国においてはA国の法律に則って、保護されます。(なので、ロシア人の書いた文章を日本語に翻訳する時は、日本の法律に則って保護される。保護期間については、短い方に合わせて良いので【§58】、50年経っていれば自由に翻訳できる)
以下、特例です。
★特例
・翻訳権の7年強制許諾:
テキストを参照してください(26頁)。翻訳権者から許諾が得られない場合に、文化庁から許可を得て、補償金を支払えば翻訳ができる制度。
・翻訳権の10年留保:
これは、もともと旧著作権法(1899~1970)で規定されていた制度が、現著作権法(1971.1.1施行)に経過措置として残されているものです。
「テキスト」から“引用”すると、「著作物が最初に発行された年から10年以内に翻訳物が発行されなかった場合翻訳権が消滅し、自由に翻訳することができる制度」(25頁)です。
旧著作権法にはこうあります。
著作権者原著作物発行のときより十年内に其の翻訳物を発行せざるときは其の翻訳権は消滅す
前項の期間内に著作権者其の保護を受けんとする国語の翻訳物を発行したるときは其の国語の翻訳権は消滅せず 【旧§7】
この法律の施行前に発行された著作物については、旧法第七条及び第九条の規定は、なおその効力を有する。 【附則§8】(旧第九条は、期間について、発行の翌年から起算します、ということを定めています。)
つまり、現著作権法施行(1971年1月1日)前に発行された著作物については、この制度が適用でき、現在でも自由に翻訳ができるようです。
例えばブロツキーという詩人は、1996年に亡くなっていますから、原則的には2047年にようやく許諾なしでの翻訳が可能になるところですが、1965年にアメリカで出された“Стихотворения и поэмы”という詩撰集は、1970年以前に発行された著作物なので、1976年までに日本語訳が出版されていなければ、翻訳ができるということになります。ややこしい…。
感想ですが、意外と、翻訳、イケるのではないか??と思いました。
勝手な想像ですけど、旧著作権法の制定は1899年、明治32年です。前年には民法公布、大隈内閣(日本史上初の政党内閣)が成立し、この年には長距離電話(東京~大阪間)が開通、そして1902年日英同盟締結、そして日露戦争へ…と続いていく時代です。
翻訳にここまでの待遇が認められた背景としては、アジアの後発国として、外国の文化をどんどん吸収するぞ、という焦りに似た意欲があったのでしょう(か)。
そして、良いことか悪いことかはわかりませんけれど、相手国側にもきっと「アジアのなんだかわからん少数言語に訳されても痛くも痒くもないわ…」という一種の余裕というか寛大さがあったのでしょうか(知らない)。
そうです、日本はアジアの小国であり、後進国です。それくらい誇り高く遜れる気持ちの余裕、大切だと思います。日本は、クールじゃない。すごくない。お願いですから、訳させて下さいね、という気持ちを大切にしていきたいものです。
適当な感想になってしまいましたが、以上、すべて個人の見解です。誤りがあれば、ご指摘いただければとおもいます。それでは。
(文責:工藤杳)
10月2日追記:
その後調べたところ、敗戦国である日本には、「著作権の戦時加算」という規定も存在することがわかりました。詳しくは、以下JASRACのページがわかりやすいと思います。
http://www.jasrac.or.jp/senji_kasan/index.html
(参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/戦時加算_(著作権法)
10月2日追記:
その後調べたところ、敗戦国である日本には、「著作権の戦時加算」という規定も存在することがわかりました。詳しくは、以下JASRACのページがわかりやすいと思います。
http://www.jasrac.or.jp/senji_kasan/index.html
(参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/戦時加算_(著作権法)
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