2020年3月6日金曜日

ゆめみるけんりの本屋さん:bullock(栃木県矢板市)

栃木県矢板のbullockさん(https://www.instagram.com/bullockbooks/)。「ゆめみるけんり」をお取扱いいただいている本屋さんの中で、いちばん山奥にある本屋さんです。私たちが「ゆめみるけんり」を始めて、はじめて本屋さんの側から「ぜひ扱いたいです!」と声を掛けてくださったのがbullockの店主・内田さんだった、という経緯でお知り合いになりました。とても嬉しくて、こちらもぜひ!とお願いすることに。どんな方がやっているお店なのだろう?と、ずっと興味を持っていました。今回、とうとうゆめみるけんりの3人のメンバーで、bullockさんを訪問することができました!

東京から宇都宮線に揺られてほぼ3時間。bullockさんの訪問レポートです。

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矢板に向かう東北本線。畑が広がります。
同行した栃木出身のSさんによると、この辺りでは大谷石という石が取れるそう(でしたっけ)で、独特の石造りの建物も多く見られました。また酪農も盛んで、牛が道ばたを歩いていることも少なくないとか。


矢板から山の方へ車で15分くらいで、着いた!
ここがbullockさん!とても静かで、空気のおいしい場所です。


中に入ると、木の温もりを感じます。秘密基地のようなたたずまい!


内田さんもお気に入りの真ん中の棚には、torch pressさんの本やZINEなどが並びます。新しい発見が得られそうな棚でした。


ゆめみるけんり、発見!右側には紅茶も。


こちらの窓の向こうにお茶を飲めるスペースを併設される予定とのこと。ちなみに、建物はすべて内田さんがゼロからつくっています。すごい…


ロシア文学、日本文学、SF、エッセイなど、並んでいる本のジャンルはさまざま。
中でも内田さんのお気に入りはSF。SFにうとい私たちでしたが、特にイギリスのSF作家チャイナ・ミエヴィルなどの作品について、ゆめみるけんりにも通じるその魅力を存分にお話しいただき、絶対読みたいと思いました!


どことなく実家に帰ってきたような気分に。思わずたたずむK。この辺りでは、きつねなどの野生動物も見られるとか。

ゆっくり内田さんとお話ししながら、本屋を始められたいきさつなどについて伺うと、いろんな方との出会いやタイミングが重なり、「とにかく始めてみないとわからない!」という気持ちで始められたとのこと。内田さんは「結構軽い気持ちで始めたんです」と笑いながらおっしゃっていましたが、いやいや、なかなかできることではありません。その身軽さにワクワクしましたし、自分たちもなんでもやってやろう!という勇気をもらった気がします。


人なつっこい猫ちゃん、とてもかわいかったです!

矢板には、東京とはぜんぜん違う時間が流れていました。内田さん、ゆっくりと寛がせていただいて、どうもありがとうございました。ずっと応援しています!ぜひまた伺わせてください。

*bullockさんも私たちを紹介してくれました!→https://www.instagram.com/p/B9I2YWjlKE8/
*bullockさんの雰囲気が伝わる良い訪問記です→https://www.driveplaza.com/trip/michinohosomichi/ver145/

番外編:矢板から少し先の駅「黒磯」の周辺

bullock訪問のあと、内田さんからおすすめされて、矢板のさらに先、黒磯駅へ行きました。



黒磯には、おしゃれなカフェやパン屋さん、雑貨屋さん、洋服屋さんなどが並ぶエリアができていて、若い方やお子さん連れで賑わっていました。駅前には、新しく図書館施設も作られている様子。ぜひとも立ち寄りたいエリアです。


こちらも変わった建物。外から二階のバルコニーに上がって、右手の青い入り口の奥には、仕立て屋さんと書店(hookbooksさん)がありました。

(文章と写真:ふじた、工藤)

2020年2月22日土曜日

【イベント】ゆめをてわたす vol.2


ゆめみるけんりから、嬉しいお知らせをお届けします。
3月に、詩のzine「て、わた し」池袋のコ本やさんとともにトークイベントを開催することとなりました。

コ本やのリニューアル・オープン、『て、わた し』の第7号(特集:フラニー・チョイ―導くための声)刊行、『ゆめみるけんり』のvol.4(特集:手紙)刊行を記念して行うトークイベントです。

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私たち3者が共有する課題の一つには、「社会の中の詩・芸術」ということがあると思います。「貧しい時代に、何のための詩人か?」(ヘルダーリン)──当日はそれぞれの取り組みについてご紹介しながら、会場のみなさんも交じえ、この世知辛い社会の中で詩とは、芸術とはいったい何なのか、ぐるぐると考えてみたいと思います。

ゆめみるけんりからは工藤順が参加するほか、ゲストとしてvol.4に〈物質詩〉を寄せてくださった詩人の佐々木樹さんにも自作解説をお願いする予定です。

コ本やさんはvol.1から交流のある、ゆめみるけんりにとっては特別な本屋さん。いつかはゆっくりお話をしたいと思っていました。きっと面白い話になるはずです。ぜひぜひ、お越しください!

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ゆめをてわたす vol.2 ──2つの詩のzineとコ本や、これまでとこれから──

◯日時:2020年3月14日(土)14:00-16:30(13:30開場)
◯会場:theca(コ本や honkbooks内)
◯参加費:2000円(当日お支払い)
◯定員:30名
◯予約:https://yumewotewatasu-02.peatix.com/
◯詳細は、コ本やさんHPにて↓
https://honkbooks.com/post/190924842076/yumewotewatasu-02

*「ゆめをてわたす」の1回目は、西荻の忘日舎さんで行いました.
https://droitdeyumemir.blogspot.com/2019/04/tewatasu1rep.html

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出演者

青柳菜摘(あおやぎなつみ) from コ本や honkbooks
1990年東京生まれ。アーティスト。「彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人,あるいは現代のプロメテウス」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2019)、「孵化日記 2014-2015」(第10回 恵比寿映像祭, 2018)など。「だつお」というアーティスト名でも活動。コ本や honkbooks主宰。

山口勲(やまぐちいさお)from てわたしブックス
1983年東京生まれ。経理。ポエトリーリーディングのイベント千葉詩亭(大島健夫と共催)・くにたちコミュニティリーディング(国立本店と共催)。アメリカ合衆国のトランスジェンダーの詩人のアンソロジー『Subject to Change: Trans Poetry & Conversation』を翻訳したい。

工藤順(くどうなお)from ゆめみるけんり
1992年新潟生まれ。労働者。アンドレイ・プラトーノフ『不死』(未知谷、2018)編訳、『チェヴェングール』翻訳中。ロシアに生まれられなかった後悔を胸に、何とか生きている。

ゲスト情報!

佐々木樹(ささきみき)from ゆめみるけんり
1992年宮城県生まれ。詩人・美術家・U.N.I.T.主催。
『Exhibition Design Art of Asian Regionality and Climate in Phnom Penh 2018』(Cambodia, 2018)
『Weinetiketten trienarre Erbach am Rhein sommer 2019』(Deutschland, 2019)などに参加。
制作ならび研究テーマは「芸術制作における中間領域」と「詩と詩的表現の境域について」。

『て、わた し』からは、詩人の古﨑未央さんにご登場いただく予定です。

(2020/3/1追記)

2019年10月1日火曜日

【イベント】プラトーノフ読書会(10/11)

本屋さん「平井の本棚」にて開催される「翻訳者と読む読書会」で、ゆめみるけんりの工藤順がお話しします。

死なないために──翻訳者とプラトーノフを読む読書会

日時:2019年10月11日(金)19:30〜
場所:平井の本棚 2F(総武線平井駅北口すぐ)
参加費:1,200円 (*飲食持ち込み歓迎、ウォトカあり)
ご予約は、メール、Facebook、平井の本棚店頭で受け付けています。


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労働から……宇宙へ、不死へ! 

ロシア革命の時代、独特な視点から労働と宇宙とのつながりについて書いたロシア作家アンドレイ・プラトーノフ。もしも私たちの日々の労働が、宇宙とつながっているとしたら……? そんな何だか世界が変わって見えるスケールの大きさが、プラトーノフの魅力のひとつです。

この読書会では、翻訳者をまじえ、参加者のみなさんとフラットに、プラトーノフ作品の魅力についておしゃべりしたいと思います。未読の方も大歓迎!

○翻訳者:工藤 順(くどうなお)
1992年生まれ。労働者。ロシア文化研究。プラトーノフ『不死』(未知谷、2018)が初の翻訳書。 「ゆめみるけんり」主宰。http://pokayanie.blogspot.jp

○会場:平井の本棚(ひらいのほんだな)
総武線平井駅北口からすぐの本屋さん。2018年オープン。https://hirai-shelf.tokyo/

2019年9月6日金曜日

コンテンツ(vol.4)

『ゆめみるけんり』vol.4:目次

◆特集:手紙
- 佐々木樹「《物質詩》/《Material poetry》」
- 杉浦朋美「十進法の子兎」
- アスガル・ゴーンダヴィー/倉畑雄太・谷口新之介「抒情詩」
- アリー・シャリーアティー/村山木乃実「妻への手紙」
- Iutus Sator「De Profundis/深淵より」
- よるか「モノローグ」
- ジャコモ・レオパルディ/藤澤大智「無限のあとで:レオパルディの詩と手紙」
- くだしあ「フィット」
- Kamila Lin「スニーカーへの手紙」
- 髙野由美「You leave someday」
- 國米陸「あな」
- アルノルト・シェーンベルク/石井優貴「シェーンベルク(1874〜1951)の書簡から」
- ふじたみさと「詩は不在からの合図」+「眠りについて」
- プロホロワ・マリア/Прохорова Мария 「2通の手紙」
- 砂漠で生きる「仔ヌーを逃がす」
- 山口勲「訓戒」
- マリーナ・ツヴェターエワ+ボリス・パステルナーク/工藤順「あなたってなんて私なんだろう!:パステルナークとツヴェターエワの手紙より」

◆書店コラム:忘日舎

◆連載
- フェルナンド・ペソア/ふじたみさと「アナーキスト・バンカー」(2)
- ニコライ・フョードロフ/工藤順「著作者の義務と、博物館・図書館の権利」(2)

表紙:tsugumi
写真:ふじたみさと、工藤順
章扉:髙野由美
エピグラム構成:工藤 順

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Table of Contents for “yumemirukenri 04”

◆Issue: Letters
- Miki Sasaki “《Material Poetry》”
- Tomomi Sugiura “Decimal System Rabbits”
- Aṣghar Gonḍavī (اصغر گونڈوی) / Yuta Kurahata “Lyric”
- Ali Shariati (علی شریعتی) / Konomi Murayama “A Letter to Pūrān”
- Iutus Sator (Yuta Satori) “De Profundis (Epistula ad Iuvenem Philosophum)”
- Yoruka “Monologue”
- Giacomo Leopardi / Daichi Fujisawa “After Infinity: A Poem and Letters by G. Leopardi”
- Kudashia “Fit”
- Kamila Lin “Письмо кроссовкам (A Letter to my Sneakers)”
- Yumi Takano “You leave someday”
- Liku Kokumai “Hole”
- Arnold Schönberg / Yuki Ishii “Selected Letters of A. Schönberg”
- Misato Fujita “Poetry Is a Signal from the Not-Being” + “On Sleeping”
- Прохорова Мария (Prokhorova Maria) “Письма (Letters)”
- sabaku de ikiru “Let the Baby Gnu Run”
- Isao Yamaguchi “Instructions”
- Марина Цветаева и Борис Пастернак (Marina Tsvetaeva and Boris Pasternak) / Nao Kudo “How ‘I’ you are!: Letters between Tsvetaeva and Pasternak”

◆Book Shop Column: Vojitsusha

◆Serials
- Fernando Pessoa / Misato e Nao Fujita “O Banqueiro Anarquista -2-”
- Nikolai Fyodorov / Nao Kudo “Author’s Duty and the rights of museums and libraries -2-”

Cover: tsugumi
Photography: Misato Fujita and Nao Kudo
Paintings for the Chapter Title Pages: Yumi Takano
Composition of Epigrams: Nao Kudo

メンバーズ(vol.4)

『ゆめみるけんり』vol.4メンバーの紹介です。
「作品解題、または“手紙”にまつわる記憶」と、“手紙”から連想する作品を一つ挙げてもらいました。

◆石井優貴(いしいゆうき)
死んだ人間の手紙や日記を読む機会が多いのですが、その都度、大学でお世話になったある先生が仰っていた「人間は自分にとって本当に大事なことを書き残さない」という言葉を思い出します。我が身を振り返っても、きっとそうなのだろうという気がします。シェーンベルクも一番大事なことを文章にしない人間だったようです。
 *アントン・チェーホフ『ワーニカ』

◆くだしあ
#2000年生まれ、大学生。
父の書斎に、一年前に逝去した大親友・Mさんからの手紙が飾ってあります。今でも父の背中を押し続ける、亡き人からの言葉。この様子を見て、第三者のわたしはポジティブな呪いを感じました。手紙は、残るものです。一度外在化させて他者に届いた言葉は、たとえ当人が死んでもステイし続けます。まるで、実体はなくても他者を変容させてしまう、呪いのように。
 *ソフィ・カル「限局性激痛」

◆工藤順(くどうなお) 
#労働者。プラトーノフ『不死』翻訳。HP:https://junkdough.wordpress.com
つねに誰かに語りかけるやり方で、わたしは文章を書きたいと長いこと思ってきました。そうであれば、わたしはつねに“手紙”を書きたかったのかもしれません。SNSのreply (отклик?)に対して、わたしは─responsibilityに開かれたものとしての─responce (ответ)を好みます。たとえどちらも期待できなくとも、ひとでありつづけるために、わたしは手紙を書きつづけたい。
 *『新約聖書』

◆倉畑雄太(くらはたゆうた)
久しぶりに詩を訳した。分からないところは友人から聞いた。別の友人がこの詩を見て絵を描いてくれた。手紙をやり取りするような不思議な感覚があった。
 *フランツ・カフカ『ミレナへの手紙』

◆國米陸(こくまいりく)
#instagram 絵@neconoami きのこ@kinoconoami
『あな』は、別の宇宙の別の星のすごく昔のあるひとに送った、送られた手紙だと後で気づいた。倉畑さんに何か書けばと言われ、次の日の朝、羽根木公園のベンチで書いた。ぼうっとした。
ギャビが英語に翻訳してくれた。ギャビはリトアニアの港町から来た。
去年の10月から絵は描き始まった。
 *アーノルド・ローベル 『ふたりはともだち』

◆佐々木樹(ささきみき)
#詩人/美術家。U.N.I.T. 主催。1992年 宮城県仙台市生まれ、2015年 法政大学社会学部 卒業、2017年 日本大学大学院芸術学研究科 修了 HP:http://kuri-to-unit.info
手紙の持つ力である初めて触れた時の鮮烈さと繰り返し読み直していくことで分化し続ける想像の小道の生成、綯い交ぜになったそれらを整理するための“ことば”ではないもうひとつの言語の方法論として物質詩は存在しているのかもしれない。
 *福永武彦『草の花』

◆佐取優太(さとりゆうた)
#1995年生,早大文学部卒。Note:https://note.mu/iutus_sator
キリスト教について自分の考えていること(というか,直観していること)を書いたつもりです。真新しいことは何もありませんが,ともあれ,21世紀にlingua latinaの「新文献」を編み出せたことに満足しています。
 *ペトルス・アベラルドゥス『厄災の記』

◆砂漠で生きる(さばくでいきる)
#Twitter:@mstkaqrg
青い空、白い砂浜、揺れるヤシの木。
「最高のヴァカンス」と書かれている絵葉書が遠くから届いてほしいです。
 *「やぎさんゆうびん」(童謡)

◆杉浦朋美(すぎうらともみ)
#1991年生まれ
フリオ・コルタサルの短編「パリにいる若い女性に宛てた手紙」をモチーフに制作しました。
昔の恋人からもらった手紙やもう会うことのない亡くなった人からの手紙は、書き手の分身のようでもあり、ある種の生々しさを宿しているように感じます。その生々しさと対照的な子ウサギをあえて可愛らしく紡ぎました。
 *ガブリエル・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』

◆髙野由美(たかのゆみ)
#HP:https://yoooo0oumi.wordpress.com
「You leave someday」という絵は、「いつかいなくなってしまう」けれど、出逢う素晴らしさを想ったものです。
絵の上で、景色や人の姿が出てきた時、前から求めていた風景と出逢ったような感動があります。そして観る人にもそれが起こるかもしれないという、共鳴について考えています。
 *池田晶子・陸田真志『死と生きる:獄中哲学対話』

◆谷口新之介
#instagram:shinnosuke_0717
僕にはあの詩の意味がさっぱり判らず、なのにさっぱり判る気がして無邪気に何かを描きました。もしかしたらアスガルさんは、叙情の合間の隙間の隅に、あんな紋様を描いたかもしれません。描かなかったかも。どちらにせよ、僕はあんな紋様を描きました。そして嬉しいことに、僕にはあの紋様の意味がさっぱり判らないのです。
 *ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』

◆tsugumi
#1992年広島生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。現在は広島市内でフリーランスとしてゆったりと活動しています。
うさぎのぬいぐるみフェリックスが世界旅行をし、持ち主のソフィへ各国から外国だよりを送ります。その手紙が封筒ごとそのままページに貼ってある可愛らしい仕掛け絵本です。小さい頃、まるで自分に手紙が届いたみたいで嬉しくて何度も読み返しました。遠く離れていても、時間と距離を経て大切に運ばれてくる愛。手紙は大掛かりなものではないが故に、送る人と受け取る人の双方だけにわかる内緒の感動(ロマンス)が詰まっているんだなぁと思える愛くるしい一冊です。
 *ランゲン/ドロープ『フェリックスの手紙』

◆藤澤大智(ふじさわだいち)
手紙を投函すると、到着までの長い時間を思い、嫌気が差す。が、じつは時間こそが手紙の核心であって、その待ち時間は、到着を味わうための作法となる。性急な人間は手紙に向かない。手紙愛好家は、聖遺物を扱うように手紙を封入し、何世紀も保管する義務を負うように封蝋し、自らの手で投函する。(マンリオ・ズガランブロ)
 *井上靖『猟銃』

◆ふじたみさと
小学生のころ、毎日のように手紙を交換しては、いろんな友達の字を真似していました。結果、いまだに字体が安定しません。
 *吉田加南子さんの文章すべて

◆プロホロワ・マリア
#ロシア出身。現在、東京外国語大学の大学院生。prokhorovamaria1*gmail.com
何年か前に徳島県の心の手紙館というところに行って、未来の自分宛に手紙を出しました。今読み返すと、そのときに悩んでいた問題は今も全く解決できていないことに苦笑してしまいます。でも、やはり書いてみて良かったです。何があっても一生一緒にいてくれる相手には、たまに手紙くらい出すのは最低限の礼儀ではないでしょうか。
 *村田沙耶香『コンビニエンスストア様』

◆村山木乃実(むらやまこのみ)
#東京外国語大学博士課程(DC2)twitter:@miveyederakht
大学生のころ、実家にいる祖母と文通していた記憶ですかね…
 *アイヌルクザート・ハマダーニーの書簡集

◆山口勲
#1983年生。てわたしブックスを主催し詩の雑誌『て、わた し』を刊行。詩の朗読会 千葉詩亭・くにたちコミュニティ共催。HP:http://tewatashibooks.com/
2010年から2015年にかけて、「なくしたものにお手紙をおくろう」というワークショップをやっていた。
なくしたものにお手紙をおくり、他の人がなくしたものになったつもりでお返事を書くというワークショップ。
私の周りがいそがしくなり、ワークショップができなくなった結果、家にはたくさんのお手紙が置いてある。
この手紙の一つ一つにお返事を書いてもらえる人を探す機会を作ることが求められているのだけど
 *アーノルド・ローベル 『ふたりはともだち』

◆よるか
#blog:http://yoruka282232356.wordpress.com
ダンボール一箱に収まり切らないぐらい手紙を書き、手紙をもらった。そして処分もしてきた。メールはゴミ箱に入れてもそこまで心が痛まないのに、手紙をシュレッダーにかけた時は心が痛んだ。不思議なものである。そこにはなんの違いがあるんだろう。手紙も電子メールもLINEやWhat’s Appも誰かからの言葉には変わりないのに。心痛む記憶が手紙にはある。
 *「魔女の宅急便」(アニメ)

◆Kamila Lin(かみらりん)
#FB:Kamila Lin Illustration
Привет, меня зовут Камила, рисую иллюстрации для себя, а работаю оформителем витрин в городе Санкт-Петербурге. (хотя это все пустые факты, и они меня никак не выражают..)[こんにちは、カミラです。イラストは自分のために描いています。サンクト・ペテルブルグという街でショーウィンドウをつくる仕事をしています。(これはぜんぶつまらない事実でしかないけれど、どうしてもこんなふうにしか書けないので……)]
 *フィンセント・ファン・ゴッホ「弟テオへの手紙」

2019年8月23日金曜日

「ゆめみるけんり」vol.4

表紙デザイン:tsugumi
Cover designed by tsugumi

今秋も、詩と生活のzine『ゆめみるけんり』の新刊を刊行します。vol.4は「手紙」特集です。

vol.4は、今まで以上にヴァラエティに富んだ中身になります。翻訳としては、イタリアやイラン、オーストリア、ロシアから手紙が届いています。もちろん日本語でのオリジナル作品や驚異のラテン語創作もあり、また刺繍作品や絵画、イラストなど、ヴィジュアル面でもかなり充実しています。いずれも『ゆめみるけんり』でしか読めない作品ばかり。ご期待ください。

新しい試みとして、メールニュースを始めます(気まぐれ・不定期配信)。vol.4の発売もいち早くお知らせします。ご希望の方は以下のフォームより、メールアドレスの登録をお願いします。(なお、Facebookのページ(https://www.facebook.com/yumemirukenri/)でも随時お知らせします。)元気が出るので、応援してくださっている方、ぜひ。

「ゆめみるけんり」vol.4(2019年秋発売)
特集「手紙」

コンテンツ:【更新】vol.4の目次です。
メンバーズ:【更新】vol.4に参加する人たちの紹介。

New issue (vol.4) of our zine "yumemirukenri" will be out in autumn this year.
We will let you know by e-mail or on our FB page (https://www.facebook.com/yumemirukenri/), when the zine is out. To register for e-mail news, send your e-mail address from the form below.




フォームやメールニュース、vol.4についてなど、お問い合わせはdroit.de.yumemir*gmail.com(*を@に変えてください)まで。
Contact: droit.de.yumemir*gmail.com



〈vol.4によせて〉

詩の多くが、おそらく、誰かに宛てて書かれてきました。その反面、詩にとって本質的だったのはむしろ、その宛先に詩が届かないということであったように思います。すくなくとも現在の私たちが、「◯◯へ」宛てられた詩を読んで(しまって)いるということ自体、そのことをよく表してはいないでしょうか。
 詩は、届かず、遅配され、誤配され、窃み読まれることを運命づけられた手紙です。“原稿は燃えないものだ”――作者の死に際して燃やされるはずだったあるチェコの作家の原稿は、遺言を守らなかった悪友の手によって世に出され、そしていまの今まで私たちは(この日本という世界の涯てでさえ!)その原稿を読んで(しまって)いるのでした。
 (しまって)――つまりうっかり、時ならず、何の権利もなく。しかしながら、詩の本来的な力もまた、ここに宿るとわたしには思われます。つまり、詩が作者の想定をこえて誤配されてゆくこと。〈詩人の世紀〉であった20世紀の詩人たちは、あるいはこの一点に賭けながら、収容所の中で、寒さと飢餓の中で、絶望の中で、紙とペンを手放そうとしなかったとも言えないでしょうか。ロシアの詩人ツヴェターエワはこんな印象的なフレーズをつづっています:「あなたへ――100年の時をこえて」。彼女にとって詩とは、100年先の私たちに宛てた手紙だったのかもしれません。
 いま私たちが誰かに――誰か“あなた”に――手紙を送るとしたら、どんな手紙を、どんなやり方で語ることになるのでしょうか。いま、ここでしかあり得ないことばが、いつか100年の時をこえて誰かに届くことがあるのでしょうか。翻訳者とは、手紙の窃視者です――しかし、翻訳者を起点に、ふたたびことばが、100年先の見ず識らずの宛名人へと解きはなたれるとするならば。そのときには、翻訳もまた一つの手紙であると言えるのかもしれません。それは――現在・未来に向かうのみならず、過去へと向けられた愛の手紙(ラヴレター)であるはずです。
 メールが即座に、SNSでの投稿が全世界に(しかし、誰に宛てて?)届いてしまう今、手紙は、回りくどく、あまりに遅く、アナクロニズムでさえあるのかもしれません。しかしその速度でしか、誰かに宛てて書かれるやり方でしか、伝わらないものがあると信じ、この特集をつくってみることにしました。
 あなたへ――小さな、ここでしかない私より。いまは宛先不明で戻ってくるとしても。

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Many of poems might have been written in a manner of addressing to someone. On the other hand, I suppose it is even essential for the poems not to be delivered rightly to the addressee. It is proven clearly by the fact that we are now reading (by accident) the poems which is addressed to *** (someone).

The poems are letters - which are destined not to be delivered to the right addressee, to be delivered not on time, to be delivered mistakenly, to be read by someone who does not have right to do so. “Manuscripts don't burn” - when I read this line in a Russian writer's novel, I remember a Czech writer, whose manuscripts were destined to burn by the will of the writer, however, they were made public by an insincere friend of his, and since then, up to now, we are reading the writer's works happeningly (by accident), even in this rim of world, Japan.

(By accident) - i.e. happeningly, not on time, without any right to do so. However, I think from here the inherent potential of the poetry emerges. In other words, the delivery not to the right addresser, the delivery beyond the expectation of the author. Maybe for that potential of poetry, the poets of 20th century - “the century of poets” - haven't given up their papers and pens even in concentration camps, in hopelessness, suffering from moroz and hunger. Russian poet Marina Tsvetaeva once wrote an impressive phrase: “To you - over a hundred years.” For her, the poetry might have been letters addressed to us, who live a hundred years after her.

By what letters, in what manners will we begin to exchange conversations with someone - some “you” - if we are to send letters now? The words that are possible only here and now - can they reach someone sometime, over a hundred years? Translators are peepers of letters. However, if the translators are to set the words free and send them again to someone un- known, over a hundred years, then, translation, too, can be called an act of sending letters. It must be a love letter not only to the time present and the time future but also to the time past.

In this era of e-mails and SNS, which have made possible to send instant- ly the messages that are addressed to the whole world (but to whom, to what “you”?), letters are too slow, too roundabout, even too anachronic a way of communication. I decided to dedicate this issue of “yumemirukenri” to letters, however, because I believe there is something we can- not exchange without the slowness of letters, without the way addressing to someone.

To you - from me, who is so tiny and is bound to here, letters are sent, no matter if they will be returned, marked “Address Unknown.”

(工藤順/Nao Kudo)

2019年7月7日日曜日

【イベント】7/19ペソア+ボサノヴァイベント@平井の本棚

(2019.10.01追記)
本イベントは終了しました。こちらから、イベントのダイジェスト動画をご覧いただけます!
https://hirai-shelf.tokyo/2019/09/15/%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%a4%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%88%e3%80%8e%e3%82%b9%e3%83%8a%e3%83%83%e3%82%af%e3%80%8c%e8%b6%8a%e5%a2%83%e3%80%8d-%e3%83%9a%e3%82%bd%e3%82%a2x%e3%83%9c%e3%82%b5%e3%83%8e/


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『ゆめみるけんり』ではvol.1から、ポルトガル詩人フェルナンド・ペソアの作品「船乗り」と「アナーキスト・バンカー」をふじたみさとさんの翻訳で掲載しています。

この度、総武線・平井駅ちかくの本屋さん「平井の本棚」にて、ふじたさんによるペソア作品の朗読と、助川太郎さんによるボサノヴァの演奏を「サウダーデ/サウダージ」(郷愁)というテーマでゆるく結びあわせたイベントを開催します。

ポルトガルワインやパシュテル・ド・ナタ(エッグタルト)を片手に、わいわい話せるスナック形式のイベントです。初夏のひと時を、朗読とボサノヴァの響きとともに…。ぜひお気軽にご参加ください!


スナック「越境」ペソア×ボサノバギター
接合点:サウダーデ/サウダージ(郷愁)

ポルトガルとブラジル、国は違えど共通するのは憂いや失くしたものへの郷愁、心を掻き立てるような心象ではないかという仮説をスナックで検証。
リスボン市の地図や風景、ペソアの詩の朗読、ボサノバギターの演奏がクロスオーバーする中で、音楽や詩の内にあるサウダーデ/サウダージを感じとれたら……

◆イベント概要◆
日時:7月19日(金)19時半~ 
場所:「平井の本棚」2階
(総武線平井駅北口から徒歩1分→アクセス
参加費:3,000円(ポルトガルワインorエッグタルト付き)

◆ご予約◆
hirai.shelf*gmail.comにメール(*を@に変えてください)
Facebookページ(https://www.facebook.com/events/717238152079467/)、Peatixページにてご予約ください。
【7/17追記:予約先メールアドレスに誤りがありました。お手数をおかけしますが、こちらのページから予約された方は、上記の正しいアドレス宛に再度ご連絡いただければ幸いです。】

◆プロフィール◆
助川太郎(SUKEGAWA Taro)
米バークリー音楽大学ギター科卒業。クラシックギターを尾尻雅弘氏に師事。2003年ボサノヴァユニット「メヲコラソン」でメジャーデビュー。ブラジル音楽を中心に南米フォルクローレジャズ、クラシックなど、様々な要素を取り入れたギター独奏コンサートを日本全国で展開している。
http://www.tarosukegawa.jp


ふじたみさと(FUJITA Misato)
広島育ち。「平井の本棚」の日曜店番。
『ゆめみるけんり』ではF・ペソアの作品を英語から翻訳。きっと平井に合うペソアの脱力感が伝わればと思います。

平井の本棚
総武線・平井駅にある本屋さん。2018年オープン。https://hirai-shelf.tokyo/


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yumemirukenri holds an evening with reading of poems of Fernando Pessoa by FUJITA Misato (yumemirukenri) and Bossa Nova guitar performance by SUKEGAWA Taro.

Date: 19 July (Fri) 730PM-
Venue: Book Shop "Hirai no Hondana," 2nd Floor
(A minute walk from JR Hirai sta.)
Fee: ¥3,000 (incl. one glass of Portuguese wine or a pastel de nata (Portuguese egg tart))

For reservation, please contact via
- e-mail (hirai.shelf*gmail.com) (change * to @)
- Peatix (address shown later)